召喚獣のすゝめ 〜召喚ドラグマ編〜
お久しぶりです。
自粛は次第に緩和されており、カードショップも大会を再開するなど、遊戯王の環境も変わりつつありますが皆さんいかがお過ごしでしょうか?
今回は7月の制限改訂も発表され、来期の環境デッキ候補筆頭でもある「召喚ドラグマ」について解説します。
制限改訂の内容については公式を参照して下さい。
なお、本記事ではドラグマ側のカードを全て解説することはしません。
あくまでも「採用しているカード」と「採用する可能性のあるカード」について触れていきます。
①ドラグマギミックの基本的な動き
②召喚獣と組み合わせることのメリット・デメリット
③-a 実際の構築
③-b 採用しなかったカードについて
これらを中心に進めます。
①ドラグマギミックの基本的な動き
主軸はこのエクレシアで、このカード一枚から後述の【教導の大神祇官】や状況次第では【教導の騎士フルルドリス】を持ってくるのが基本的な動きとなります。
そもそも召喚獣と混ぜない場合や手札の内容によっては他のドラグマカードをサーチすることになりますが、テーマの中でも【アルバスの落胤】と【天底の使徒】は直接サーチが出来ないので注意が必要です。
さて、では他のカード解説を交えながら基本的な展開ルートについて触れていきます。
必要札は「アレイスター+エクレシア」です。
アレイスターは暴走魔法陣、エクレシアは【天底の使徒】でサーチが可能なためそこまで要求値が高い組み合わせではないと思います。
❶アレイスター召喚からメルカバーの成立
❷エクレシアの効果を発動しSS、そのまま効果を発動して【教導の大神祇官】をサーチ
❸墓地のアルミラージをコストに【教導の大神祇官】SS効果を発動
❹自身の効果を発動し、EXから【灰燼竜バスタード】と【エルシャドール・アプカローネ】を墓地に送る
❺【エルシャドール・アプカローネ】の効果を発動し、【影依の偽典】を手札に加え、手札を1枚選んで捨てる
❻【影依の偽典】をセットし、エンドフェイズに墓地の【灰燼竜バスタード】の効果を発動し、【教導の騎士フルルドリス】を手札に加える
❼相手メインフェイズに【影依の偽典】を発動し、【エルシャドール・アプカローネ】と【灰燼竜バスタード】を素材に【エルシャドール・ミドラーシュ】を融合召喚
これが先攻の基本展開になります。
メルカバー成立以降の動きは誘発貫通が出来るのが流石召喚獣の強み、といったところですね。
後手の動きも至ってシンプルで、アレイスターをアルミラージにするだけでエクレシアやフルルドリスのSS条件が整います。
そのままアルミラージと混ぜて暴走アレイスターからのワンショットも可能です。
暴走アレイスターが居ない状況でも、エクレシアからフルルドリスをサーチすれば5000打点が見込めるので、後手からのライフカットにも有効である点が非常に強力です。
しかしながら、【ドラグマ】はそのSS条件などは緩いものの、自信の固有効果を発動する際には「EXデッキからモンスターを特殊召喚出来ない」という制約がつきます。
これは召喚獣からすると明らかにデメリットとなります。
この点も踏まえながら次のテーマに移ります。
②召喚獣と組み合わせることのメリット・デメリット
②-a メリット
さて、メリットについてです。
視点によっては逆転する可能性もありますが、個人的には以下の点をメリットとして捉えています。
1、召喚獣のギミックにより【ドラグマ】のSS条件が整いやすい
2、暴走アレイスターの成立が容易である
1があって2がなし得る気もしますが、先攻で暴走アレイスターを立てるメリットも薄いため切り分けて考えています。
1で重要な点は「召喚権をアレイスターに全振り出来ること」です。
よく召喚獣と混ぜ物をする際に、召喚権をどう扱うのかが鍵となってきます。
これにより初動を迷わずアレイスターから入ることが出来ます。
また、アレイスターを引いていない状況下では、エクレシアが妨害を持って来れるため全振りするとは言え召喚権を余らせることもありません。
そして、横に並べるのが容易なため、暴走を経由しないライフカットも可能です。
【教導の騎士フルルドリス】は自身も含めてドラグマモンスターの打点を上げてくれるため、非常に優秀です。
2
これは前述の横に並べるのが容易ということもあり、暴走アレイスターの成立からワンショットを目指すことも出来ます。
しかしながら、メルカバーを維持してプルガトリオ、エクレシア、フルルドリスでもライフは充分に取れるので、依存度が下がったという見方も出来ますね。
②-bデメリット
ここまで強力な動きやギミックばかりを解説してきましたが、もちろん弱い点もあります。
1【ドラグマ】の動きにEXの制約が付く
2【ドラグマ】ギミックの採用によりEXが圧迫される
この2点が明確なデメリットであると言えます。
1【ドラグマ】の動きにEXの制約が付く
これについては【教導の騎士フルルドリス】を除きほぼ全てのドラグマカードが抱えている問題です。
このため、【ドラグマ】ギミックを用いて動く際には注意が必要です。
逆に言えば、召喚獣側で動ききってしまえばあとはドラグマで自由に動ける、ということでもあります。
後の③でも記載しますが、【ドラグマ】の中心とも言えるこの2枚を現在採用しています。
どちらも発動後EXの制約がついてしまい、召喚獣側の動きを制限してしまうため、特に撃ち所には注意が必要だと考えています。
2【ドラグマ】ギミックの採用によりEXが圧迫される
これについてはお気づきの方も多いと思いますが、【ドラグマ】の効果を活用するにはEXの参照が必要になります。
ただ融合体を墓地に落とすだけでもアウゴエイデスのパンプ素材確保となりますが、それだけでは不十分です。
【影依の偽典】を採用する場合はミドラーシュとアプカローネで-2、【旧神ヌトス】採用は必須クラスだと考えているため、ここで-1〜-3となり、窮屈に感じてしまいます。
EXの枠を圧迫する≒召喚獣側に制約がつくとも言えるので、プレイは勿論、構築段階でも注意を払わなければいけない点となります。
他にも初動で必ずアルミラージを使う点と【ドラグマ】側が全員魔法使いのためアレイスターと混ぜて暴走アレイスターが作れないという点にも配慮が必要です。
フルルドリスの打点補助などもあり暴走無しでもライフカットがしやすいとはいえ、不要だという訳ではありません。打点で越えれないものや置物処理で聖典が必要になる状況も数多く存在します。
先に立てたメルカバーを素材にしてしまうにはリスクが高い点も合わせると2枚目のアルミラージも視野に入ります。
一通りのメリットデメリットを書きましたが、他にも【増殖するG】が直撃してしまうことや初動の組み合わせの要求値が低い点や制圧力の高さなどが挙げられると思います。
③実際の構築
一時期は
三戦の才1枚目→シャドールビースト
三戦の才2枚目→天底の使徒3枚目
で運用していました。
召喚獣側のカードについてはほぼ固定であると思っているため、それ以外について触れていきます。
・増殖するGx3
「展開系が減るかもしれない」「指名者うらら込みで9枚体制だし通りにくい」と言われていたり、そもそも展開系が減るのでは?と不採用の方も増えているようですが、他の誘発と合わせて真価を発揮するものだと考えているため、3枚採用です。
また、メルカバーの弾やメガラニカにもなるので完全に腐る札ではありません。
・灰流うららx3
②のデメリットでちらっとふれたGの被弾を減らす点や、相手の妨害にもなるためこちらもフル投入。こちらはアルミラージがいるため属性的な役割はほぼありません。
・エクレシアx3
【ドラグマ】の要。大体の動きに絡むのとアレイスターとセットで引きたいカードのため併せてフル投入。
EXに依存する山に対して壁になり得る存在でもあります。
・フルルドリスx3
エクレシアと同じくアレイスターと合わせて引きたい一枚。暴走の素材や打点確保でも仕事をします。
また、ドラグーンや超雷龍などの強固な置物の処理にも一役買います。
・大祇神官x1
正直言ってEXから落とすのは枠的にも1回きりになること、エクレシアや使徒からサーチ可能なためピン刺しです。
・天底の使徒x2
正直なところこれは3枚でもいいのですが、発動するだけで片方のギミックが機能しなくなるカードはあまり積みたくないというのが本音のため若干遠慮して2枚採用です。
・クリッターx2
これがオリジナルのポイントです。召喚権はアレイスターに全振りするのがこのデッキですが、そもそも引いてないときにエクレシアをNSしても妨害の数が少なく、裏目がいくつか存在します。パニッシュメントやフルルドリスをエクレシアからサーチしても良いのですが、EXに何もいなくなるので扱いどころが難しくなります。
クリッターであればメルカバーが出ない点を除けばセキュアガードナー以降も同じ動きが出来ます。誘発をサーチ出来るのも強みですが、アレイスターを引けていないときにサーチする事が出来るのも強みだと考えています。
・三戦の才x2
ここは抹殺の指名者と入れ替えてもいい枠ですが、魔術とアレイスターをセットで引いてうららを撃たれた場合、マストカウンターの見極めとハンデスを行えたり、魔術を引きにいくために三戦の才が優秀と判断しての採用です。
・パニッシュメントx1
これ次の自分のターン終了時まで制約が付くため、使わないなら抜きたいぐらいです。ただ、エクレシアでサーチ可能な点と、前と後ろを処理出来る札として機能するため渋々1枚採用です。
さて、採用しているカードについては以上です。コズサイx2に関してはエルドリッチや閃刀姫をはじめとした後ろの用意があるデッキや、特定の魔法罠が除外されると支障がでるデッキが多いと見込んでの採用ですが、これは間違いない判断だと実感し始めています。
冒頭に少し触れたシャドール・ビーストは自分なりにこだわりのある一枚でした。
偽典を素引きしているときにアプカローネから持ってくるとハンドの補充が出来たり、スタンバイや直接チェーンの墓穴でアプカローネが飛ばされてもミドラーシュの成立が狙えるため採用していました。
しかしながら誘発を撃たれることに重きをおいたため三戦の才と入れ替えることとなりました。
ではEXを見ていきます。
召喚獣の枚数についてはあまり語ることは少ないですが、意識したのはよく使う召喚獣を優先して採用した点です。
もう少しドラグマ色を強くするのであればライディーンやエリュシオンが入れ替えの候補となります。
また、アルミラージ2枚目は前述した通り暴走経由を意識した採用です。ヌトスと入れ替えてもいい1枠だと思いますが、ライフの取り方が変わってくるのであまりおすすめは出来ません。
暴走に関しては必須枠です。
ドラグマミラーのマクシムスや自分から落としておくと、魔術チェーン墓穴に擬似ケアができます。
個人的に昨今の環境を見るとメガラニカとライディーンは優先順位が以前と比べると上がっていると思います。メガラニカは効果のない打点確保、ライディーンはアレイスターへの誘発ケア+妨害と色々仕事は多いです。
バスタードは一枚でいいと思います。マクシムスを使い回すことがそもそも少ないため、一度仕事をしてくれればそれで充分でしょう。
まだヌメロンが来ていないのもあり今回はサイドデッキを非公開とします。
ただ、ヌトスに触れるので二ビルトークンの処理も考えると二ビルの採用はありだと思います。
Pテーマが大きな規制を食らったわけではないのでタイフーンなどもまだまだ現役です。
③-b 採用しなかったカードについて
今回召喚ドラグマを構築するにあたって、採用しないと決めていたカードが2枚あります。
【ドラグーンセット】と【強欲で貪欲な壺】です。
【ドラグーンセット】
バニラ2枚とアナコンダを含めた出張セットのことを指しますが
1:EXとメインの圧迫
2:出すシーンの少なさ
3:登場当初との評価の違い
この3点が採用を見送っている理由です。
1:まずこのセットを採用するには素引きしたらゴミになる札をメインに2枚採用する必要があります。
融合素引きはまだそのまま撃てばいいのですが、うららを当てられるとメルカバーの弾にしかならないゴミが2枚デッキの中に眠る上に自分はそのターンほぼ動けないデメリットがつくことを考えるとあまりにもハイリスク過ぎます。
EXを2枠空ける必要もあり、この枠の捻出も非常に苦しいものとなります。後述する理由も合わせるとその労力に見合った対価を得られない、というのが見解です。
2:これについては出せるシーンが少ないというわけではありません。横に2体並べるのがそこまで不得手な山ではないので、最終目標をドラグーンの着地にするのであればこの点は解消出来ます。
ただ、アナコンダに行くには必ずドラグマカードが絡んでいます。
アレイスター+フルルドリスであれば妨害数はドラグーンにより+1になります。
しかしながら、アレイスター+エクレシアの場合、ドラグーンに行くと+1した後偽典とフルルドリスの無効が無くなるためトータルで言うと総妨害数がマイナスになります。
勿論、ドラグーンの耐性や妨害の質を考えると1妨害の質が同等ではないため、この限りではありません。
3:登場当初と違い、融合が1枚になり止められたら終わりという点に加え、対抗札の採用が増えていることが大きな要因です。
SPYRALの無規制による【冥王結界波】の採用増加、【禁じられた一滴】の登場、サイドデッキからのラヴァゴなどのリリース系の投入により簡単に除去や対策がされてしまいます。
特に偽典やフルルドリスによる妨害はこうしたメタカードの影響を受けにくい範囲からの妨害のため、総合的に見るとドラグーンよりも安定した妨害が取れると考えています。
とはいえドラグーン自体のパワーは高いため、今後の環境の遷移次第ではこの見方も変わってくると思います。
【強欲で貪欲な壺】について
10枚除外するとはいえ、その10枚は使わなかったものとして考えれば2ドローは中々に強力です。
実際に採用している人も多いようですが、このデッキであれば三戦の才で良いと考えています。
理由として、「デッキ内のサーチカードの組み合わせが豊富である」点が挙げられます。
・魔法陣→アレイスター→召喚魔術
・天底の使徒→エクレシア→マクシムス→バスタード経由のフルルドリス
・天底の使徒→バスタード落としてエクレシア→マクシムス→使徒で落としたバスタード経由のフルルドリス
・マクシムス→バスタード経由のエクレシア→フルルドリス
この他にも組み合わせはありますが、主に使うのはこの4つだと思います。
【強欲で貪欲な壺】はこのどれかがうららや無限泡影などにより止められたときのフォロー札としては優秀かもしれませんが、「未確定の2ドロー」で「デッキを10枚破壊する」という思考をしています。
この10枚の中でサーチしたいカードが飛んでしまっては元も子もないです。
誘発を撃たれた場合、ピン刺しのカードなども多々あったり、複数採用して素引きの確率を上げていることも考慮すると【三戦の才】に軍配が上がるという理由です。
しかしながら例外があり、神の宣告などの「それ一枚で機能するパワーカード」を採用している場合は【強欲で貪欲な壺】を採用します。
三戦の才はドローの他にハンデスやコントロール奪取なども出来る強力なカードですが、その分発動条件が限られて来ます。
基本展開が終わった後にそれらのパワーカードを引きに行くのであれば強欲で貪欲な壺のほうがダメ押しの一枚となることは間違いありません。
以上が今回採用しなかった主要カード2種についての解説です。
・おまけその1
クリッターの採用について
採用理由については概ね先にお話しした通りですが、実はこのカードの存在も【強欲で貪欲な壺】を採用しなかった理由の一つです。
先の解説では強欲で貪欲な壺を「初動のアレイスターに誘発を当てられて動けなかった場合」を中心に解説しましたが、そもそも「初動のアレイスターを引いていない状況」が発生することがあります。
この場合、エクレシアを引いていればエクレシアからスタートするとパニッシュメントまたは相手依存にはなりますがフルルドリスの妨害が加わることになりますが、どちらも昨今の環境では心許ないもので終わってしまいます。
そんなときに「未確定の2ドロー」ではなく確実にサーチが出来るクリッターがいればと思い採用をしています。
アルミラージ経由でアレイスターや誘発をサーチしつつセキュアガードナーにもなれるので、同じ状況のエクレシアを引いている場合と比べると妨害数も手札の質も段違いです。
そもそもエクレシアもアレイスターもない状況については、まずそういった状況がかなりの低確率であることや、代わりに誘発を引いているであろうことを考えると、そこに強欲で貪欲な壺の採用を考慮する必要性はないと感じました。
おまけその2
・【禁じられた一滴】について
今回メインには採用しなかった【禁じられた一滴】ですが、現在はサイドデッキにしっかりと採用しています。これはヌメロン発売前であることからそこまで意識することもないかな、と判断したためです。
しかしながらヌメロン発売後、先攻ゼアルへの回答としてメインから採用する方針で来期の構築を考えています。
恐らくは三戦の才やフルルドリス3枚目と入れ替えることになるのではと踏んでいます。
無限泡影やエフェクト・ヴェーラーからアレイスターが逃れることや全体の打点を下げてプルガトリオの火力を上げたりと、召喚獣としても相性がいいため是非採用したいですね。
まとめ
展開系に対してはミドラーシュメルカバーの制圧力や手数の多さが魅力のこのデッキですが、改訂により展開系が減るのではと噂される来期の環境ではお手軽ミドラーシュのギミック自体を見直すべきかもしれません。
しかしながら、制約が付くとはいえお互いのギミックの噛み合いも良いため、今後も残るデッキタイプではとみています。今回はドラグーンを採用しない結論に至りましたが、この辺りも環境の遷移と共に変わっていくものだと思います。
テーマの見た目的にも使い続けていく気がしているので、何か新たな発見があれば引き続き発信していくつもりです。
今回はここで終わりとします。
次回作は未定です。